荷物を背負って歩くコツ

山は、街の利便さとは正反対にある世界です。喉が渇いても自動販売機がすぐそばにあるわけではありませんし、お腹が減ったからといって飲食店やコンビニもありません。荷物が重いからといって交通機関にのれるわけでもありません。山を歩く時に必要なものは、すべて自分で担いでいかなければならないのです。

荷物を携帯するために、山ではザックを用います。なぜザックなのかというとなにより両手が自由になるからです。街のように平坦で規則的な道を歩くのと遠い凸凹の激しい山の斜面を登り下りするには、たとえば険しい場所で木や岩に手をついてバランスをとったり、つまずいた時にとっさに手をついてフォローしたりと、両手が空いていたほうが何かと都合がいいのです。

山を歩く時には、必要なものをひとつのザックの中に入れるわけですが、荷物をザックに詰めることをパッキングと呼びます。
パッキングはただやみくもに荷物をザックの中に突っ込めばいいというものではありません。パッキングの上手下手で歩きやすさに大きく関わってきます。

パッキングが上手な人は、ザックが最も背負いやすい状態になるように、それぞれの荷物をバランスよく荷重に偏りがないように配置することができます。逆にパッキングが下手な人のザックは荷重が均等に分散されてないため、肩や腰などの一箇所に負担がかかってきてしまいとても背負いにくいものになってます。
体になるべく負担がかからず背負いやすくなるようにパッキングするには、ザックの重心を背中のちょっと上の方に持ってくるのがコツです。そのためには、ザック本体の中心よりもやや上に重いものを詰めるようにして下さい。重いものがザックの一番上にあると腰に負担がかかり、ザックがふらふらブレてしまいます。また、基本的いは背中側に重いものが来るようにして、軽いものは背中から遠い外側に詰めます。これが逆になると、後方に引っ張られてバランスを崩しやすくなります。そのほか、行動中によく使うものはザックの上部のほうに、ザックの下部には行動中に使われないものや着替えなどの軽くてかさばるものをいれるようにします。
着替えや小物は、小さい袋などにいれるとパッキングしやすくなります。

パッキンがすんだらザックを背負ってみて、ザックの背面が背中にぴったりとくっついているか、ザックの位置が背中の上すぎたり下すぎたりしないか、前かがみになった時にザックの重さで前につんのめりそうにならないか、ザックの全体重が腰のあたりにかかっていないか、体を左右にゆすってみたときに左右にブレないかなどチェックします。
もしひとつでも不安に感じる点があるのならパッキングがうまく出来ていないがザックの調節が体に合っていない証拠ですので、山へ行く前に改善してください。

実際に山へ行った時には、歩き出す前に今一度ショルダーベルト(背負いバンド)の位置を調節してザックを背中にフィットさせ、ザックがぶれないようにウエストベルト(腰のベルト)とチェストストラップ(胸の前のベルト)をしっかり締めます。

ザックが重過ぎて疲れた時に前かがみになって歩いている人がいますが、これは体の軸が真っ直ぐになっていないために疲労が大きくなります。体を左右に揺すって歩くのもザックがブレて無駄に体力を消耗することになります。体の軸は常に真っ直ぐにたもち、スムーズな重心移動を心がけるようにしましょう。

戻る